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2014年7月14日 (月)

大作曲家の恋愛カルテ

ピアニストの小林有沙さんと一緒に愛知県扶桑町で公演してきました。

第26回ふそう文化大学「大作曲家の恋愛カルテ ~その恋文と音楽~」
2014年7月13日 14時開演 扶桑文化会館

 

モーツァルト:ロンド ニ長調 K485
シューマン:幻想曲 ハ長調 Op17より 第2楽章
クララ・シューマン:4つの性格的小品 Op5より「ロマンス」
ブラームス:6つの小品 Op118より 第1曲、第2曲

 

ショパン:ワルツ第1番 変ホ長調 華麗なる大円舞曲 Op18
      ノクターン 第13番 ハ短調 Op48-1
リスト:愛の夢 第3番 変イ長調
ドビュッシー:「子供の領分」より ゴリウォッグのケークウオーク
        「喜びの島」

 

ピアノ:小林有沙
話&朗読:朝岡聡

扶桑町は名古屋から名鉄で20分ほどの街。木曽川が街の北端を流れ、かつては桑畑、今は水田や守口大根の栽培で知られている田園地帯です。「独自の文化があふれる生涯学習のまちづくり」を目標に掲げていて、文化会館を中心とした芸術活動や地域間交流が盛んな場所でもあります。文化・芸能・音楽などの公演を文化会館が主催しており地元のボランティアが積極的に参加しているのも特徴。「ふそう文化大学」もそういった公演の一環です。音楽イベントの企画出演依頼を頂戴したので、私がクラシック音楽の舞台を考えて実現したのが今回の公演です。

私は常々「クラシック音楽の面白さと素晴らしさを広めたい」と考えているのですが、「名曲だから素晴らしいです」と言っても、お客様は実感がわきません。その作品が生まれた背景を考えると、そこには作曲家の人生や感情、歴史的な出来事など、「へぇ~」と感じ「なるほど」と共感できる要素があるのです。
それを演奏前にお話しして、良い意味で「知っているつもり」にして差し上げてから実際に演奏を聴いていただくと、クラシックは格段に面白くなります。

今回は作曲家の恋愛エピソードとラブレターを紹介してから演奏する企画を考えました。
芸術っていうのは「心のほとばしり」がカタチになったものだと思います。
もっと分かりやすく言うと「心がドキドキする」のが芸術のルーツみたいなところがあるでしょう?人間、いちばん心がドキドキするものと言えば恋愛ではないかと。
作曲家はその最たるものではないでしょうか。

今回採りあげた7人の音楽家も、奥さんや恋人に多くの手紙を残している人ばかり。
その文面からは、それぞれの作品の雰囲気を彷彿とさせる空気が漂っています。
たとえばモーツァルト。
「前のページを書いている時、手紙の上に涙をいっぱいこぼしちゃった。…でも今は元気さ…ほら、捕まえて!…ビックリするほどキスがいっぱい飛びまわっている。…こんちくしょう!僕にもしこたま見えるぞ!…そらそら!3つ捕まえた!…こいつは貴重だ!
さよなら、最愛にして最高の僕の奥さん。健康に気をつけて…歩いて町になんか出ないように…さよなら、100万回のキスをおくります」

キスが蝶のように飛びまわる…。この天真爛漫な軽やかさと陽気さは確かにモーツァルトの音楽の重要な要素ではありませんか!
この手紙を朗読してからロンドニ長調を小林有沙さんに演奏してもらうと、その音楽の味わいは格別でした。

シューマンではクララとの結婚が彼女の父親の猛反対で暗礁に乗り上げている頃の手紙を読み、クララへの愛の確信を感じられる幻想曲ハ長調の第2楽章。さらに蔵らが愛するシューマンへ宛てた手紙を朗読してから、彼女自身の作曲による「ロマンス」。知的で豊かな作曲の才能を感じさせる小品でした。
そして夫の死後40年にもわたって交流を続けたブラームスの手紙には、クララへの憧れと共感がしみじみと感じられ、彼の死の2年前に75歳のクララへ献呈された「6つの小品」の冒頭2曲には、彼女との日々を懐かしく思い出すような情感があふれている。
そのほかショパンとジョルジュ・サンド、リストとダグー夫人、ドビュッシーと妻エンマ。それぞれの恋愛プロフィールと恋文の朗読をしてから演奏をお届けしました。

小林さんの演奏は、作況かが作品に込めたメッセージを的確に汲み取り、すくい上げる様な丁寧さとドラマをもったものでお客様にも大好評。私自身も作曲家の恋を紹介しつつラブレターを読んでいると、なんだかその作曲家が親友や隣人のような感覚になって来て、大いに興味深く楽しいひとときでした。

この企画、シリーズ化も出来ると思うのですね。
あなたの街にも伺って公演する日が近いかも……。


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